土地家屋調査士法の一部を改正する法律(令和元年法律第29号)について

令和元年6月6日、土地家屋調査士法の一部を改正する法律が成立しましたので、まとめました。

特に注目すべきは、懲戒事由の発生から7年経過後は、懲戒手続を開始しない制度(除斥期間)の新設。

H20.3.1に施行されたゲートキーパー法(犯罪収益移転防止法)では宅建業者、ならびに金融機関、司法書士等が対象となっているだけで、土地家屋調査士は対象とはなっていません。ただ今回の除斥期間7年というのは、事件の発生から7年間が経過したときには、その先にもしも立件や調査依頼、照会があがったとしても、その場合の調査等は行わない、免責である、そして時効ではないので中断はない、ということで、その意味では、ゲートキーパー法と連動しています。そして、この7年という除斥期間が法律にいれこまれたからには、今後いずれ「隣接土地所有者との立会いにおける本人確認」についても、対象拡大が協議がされていく、という話も聞こえてきます。

つまり、1年半後ぐらいの施行なのでまだ大丈夫だ、と考えるのではなく、いますぐにでも意識を変えていかなければいけません。

前置きが長くなりましたが、以下が法改正概要です。(法務省の資料から一部引用しています。)

概要

令和元年6月6日、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律(令和元年法律第29号)が成立しました(同月12日公布)。

この改正法においては、近時の土地家屋調査士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ、土地家屋調査士について、それぞれ、その専門職者としての使命を明らかにする規定を設けるとともに、懲戒権者を法務局又は地方法務局の長から法務大臣に改める等の懲戒手続に関する規定の見直しを行うほか、社員が一人の土地家屋調査士法人の設立を可能とする等の措置を講じています。

なお,改正法は,公布の日から1年6月以内の政令(未制定)で定める日から施行されます。

背景

近年、以下例のように土地家屋調査士を取り巻く状況が大きく変化しているためです。

 ・ ADR手続における代理や登記所備付地図の作成等の分野において,土地家屋調査士の活躍の場が拡大
 ・ 空家問題・所有者不明土地問題への対応,自然災害における復興支援等に,それぞれ専門家として参画

課題

業務範囲の拡大や活動範囲の広域化に伴い、土地家屋調査士の制度について、以下の課題に対応する必要があります。

 1) 専門家としての使命を明確にする必要
 2) 現状に即して,懲戒手続をより合理化する必要
 3) 一人法人を認めることによる多様なニーズへの対応が必要

改正の概要

① 使命の明確化

土地家屋調査士について、専門家としての使命を明らかにする規定を設ける。(調査士法1条)

(改正前)

この法律は、土地家屋調査士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し、もつて不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的とする。

(改正後)

土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もつて国民生活の安定と向上に資することを使命とする。

② 懲戒手続の適正・合理化

(1)懲戒権者を法務大臣に変更(調査士法42条等)

懲戒権者を「法務局又は地方法務局の長」から「法務大臣」に変更されます。

これにより、多様な事案について、法務大臣の一元的な式の下で、より適正・迅速な懲戒が実現されます。

(2)除斥期間を新設(調査士法45条の2)

懲戒事由の発生から7年経過後は、懲戒手続を開始しない制度(除斥期間)が新設されます。

これにより、防御のための長期にわたる資料保管等の負担軽減が実現されます。

なお、経過措置として、施行の際に懲戒手続が開始されていない場合には、新法施行前の事案にも、新法の除斥期間が適用されます。

(3)戒告処分における聴聞を保障(調査士法44条3項)

戒告処分(※)においても聴聞手続が必須になります。

これにより、戒告処分の影響に鑑み、手続保障の充実が実現されます。

(※) 戒告処分:再びあやまちのないよう戒める処分。業務停止等の効果はない。

(4)懲戒手続中に清算が終了した法人への懲戒処分を可能に(調査士法43条2項)

清算が終了した土地家屋調査士法人への懲戒を可能になります。

これにより、懲戒逃れの防止が実現されます。

③ 一人法人の可能化(調査士法39条等)

社員が一人の土地家屋調査士法人の設立を可能とする。

これにより、法人運営に関する多様なニーズへの対応が実現されます。

なお、新法施行前に社員が一人になって解散した法人についても、解散後3年以内は、法人を継続することが許容されます。

 

 

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