土地家屋調査士等が電子申請の方法により表示に関する登記の申請又は嘱託をする場合における添付情報の原本提示の省略に係る取扱いについて
概要
令和元年11月11日から運用が開始されました通称「調査士報告方式」。
今回は法改正ではなく、不動産登記令第13条第1項の運用見直しで対応しているようですが、個人的には非常に感動しています。
この1がいっぱい並んだ日、令和1年11月11日。生涯忘れることがない日になりそうです。
ということで、今回のメリットを吉野家風にまとめてみました。(いいにくの日ですしね!)
早い!(登記が早く完了する)
先日、さっそく調査士報告方式で、「分筆の登記(2連件)」を実施しましたが、月曜日に申請して木曜日(4営業日)には完了しました。これまでであれば、おおよそ翌週の月曜日完了(5~6営業日めで完了)でした。
また、地目変更(2連件、9筆)に関しては、金曜日夜に申請して火曜日(ほぼ2営業日)には完了しました。これまでであれば、おおよそ金曜日完了(5営業日で完了)でした。
つまり、登記処理だけで「2~3営業日」早くなっています。それに原本返送を待っている時間「1~2営業日」も無くなるので、特例方式の原本を郵送で行っていた場合に比べ、「申請~原本が手元に戻る」までの時間は「ほぼ2倍」早くなっています。
法務省も大規模な予算を投じたからにはそれなりにオンライン化が進んでいかないとまずいため、オンラインを優遇し、真剣にオンライン化を促進しようとしているようですし(名古屋法務局のオンライン率が全国のうちなかなか低いこともあるようです。司法書士の紙申請率が高いことが大きな原因のようですが。)今後、建物表題登記や各種登記がどれだけ早く終わるか、など登記申請がより楽しみになりそうです。
安い!(手間が減る)
調査士報告方式では、オンライン申請で紙資料を調査士がスキャンして電子署名すれば、委任状含め原本の提示が原則不要となります。
これで、オンライン申請した後に委任状や添付書類の原本を法務局へ持ち込む(送付する)必要がなくなります。
そのため、原本を登記官に見せるための準備や、車での移動、発送準備、返送準備、ポストインなどが一切なくなり、とにかくラクになります。
「ラクになる」ということは、それだけ場合によっては費用もこれまでより抑えることができ、また他のサービスに力をいれることができますし、実際のタスクが減ることに伴い様々なリスクも同時に減るなど、直接的・間接的に依頼主様にメリットとなります。
旨い!(その他こんな旨味も・・・)
・提示する大量の原本が正しく返却されているかの「事前準備」「登記完了後の確認」が不要となる。(大量の戸籍や建築確認申請書など書類が多数あるとき、結構これが大変で・・・。)
・提示する大量の原本が無事に帰ってくるか心配な日々を過ごさなくてよくなる。(個人的にこれすごく助かります。ほんと毎回毎回心配で心配で・・・。)
・仮に原本提示追加提示の場合も、パソコンで一瞬で補正できる。(原本修正するため来ましたー、原本持ってきましたーの手間なし)
原本提示方法(令和元年11 月11 日 以前)
電子情報処理組織を使用する方法(以下「電子申請の方法」という。)により表示に関する登記の申請又は嘱託をする場合において、添付情報が書面に記載されているときは、当該書面に記載された情報を電磁的記録に記録したものを添付情報とすることができ(不動産登記令(平成16年政令第379号。以下「令」という。)第13条第1項)、この場合において、当該申請人は、登記官が定めた相当の期間内に登記官に当該書面を提示しなければならない(同条第2項)とされていました。
導入背景
この規定は、書面をスキャナにより読み取って作成した電磁的記録を添付情報とすることを許容した上で、登記官が当該書面の提示を求めた場合において、
当該登記官が定めた相当の期間内に当該書面の提示がされないときは、当該電磁的記録を添付情報とすることができない旨を定めたものと解され、同条第2項に基づき、登記官が、申請人に対し、当該書面について相当の期間を定めて提示を求めるかどうかは、登記官の裁量に委ねられているものと考えられます。
したがって、表示に関する登記の申請の代理を業とする土地家屋調査士、土地家屋調査士法人又は公共嘱託登記土地家屋調査士協会(以下「土地家屋調査士等」という。)が、代理人として電子申請の方法により表示に関する登記の申請又は嘱託をする場合において、同条第1項の規定に基づき添付情報が提供されたときは、原則として、添付情報の基となった書面の提示を求めない取扱いとすることによって、電子申請手続の利用の促進を図ることができるものと考えられます。
原本提示方法(令和元年11 月11 日 以降)
1 添付情報の原本提示の省略の取扱い
土地家屋調査士等が代理人として電子申請の方法により表示に関する登記の申請又は嘱託をする場合において、令第13条第1項に基づき添付情報が提供されたときは、原則として、添付情報の基となった書面の提示を求めない取扱い(以下「調査士報告方式」という。)を行うものとする。
2 調査士報告方式の要件
以下の要件全てを満たす場合を調査士報告方式の対象とする。
(1) 令第13条第1項の要件を満たした添付情報を提供した電子申請の方法による申請又は嘱託であること。なお、令第13条第1項の「申請人又はその代表者若しくは代理人が作成したもの」とは、代理人による申請の場合にあっては当該代理人が作成したもののみが該当するものと解されることから、同項に基づき、当該代理人が委任状等をスキャナにより読み取って作成した電磁的記録に、当該代理人の電子署名を付したものも添付情報として取り扱うことができるものとする。
(2) 土地家屋調査士等が登記の申請又は嘱託を代理し、不動産登記規則(平成17年法務省令第18号。以下「規則」という。)第93条ただし書に規定する報告が提供され、当該報告の平成28年1月8日付け法務省民二第5号当職依命通知別紙甲号様式第9号、第10-1号及び様式第10-2号中「補足・特記事項」欄又はこれに準ずる事項欄に,「添付した電磁的記録については、当職において添付情報が記載された書面を確認した上で、当該書面をスキャナにより読み取って作成した電磁的記録である。」旨が記録されていること。
(3) 別紙記載の添付情報を提供する申請又は嘱託ではないこと。
(4) 申請用総合ソフトにより作成した申請情報(嘱託情報を含む。以下同じ。)の「その他事項」欄に「調査士報告方式により原本提示省略」と記録されていること。
(5) 提供された電磁的記録が不鮮明でないこと。
土地家屋調査士等において、書面をスキャナにより読み取って作成する電磁的記録はPDF形式とし、その解像度は、300dpiを目安として作成するものとする。なお、書面は原寸のままスキャナにより読み取ることとし、拡大又は縮小して読み取ることは認めないものとする。
3 登録免許税の納付の取扱い
調査士報告方式における登録免許税の納付方法は、電子納付によるものとする。
なお、調査士報告方式においては、登記官は、登録免許税の納付以外の全ての調査を終え、不動産登記法(平成16年法律第123号。以下「法」という。)第25条第12号以外の事由に該当することはないと判断した場合において、土地家屋調査士等に対し、申請情報に記録された登録免許税額に変更があるときは補正通知(登記・供託オンライン申請システムから土地家屋調査士等に対し送信する補正通知)により、申請情報に記録された登録免許税額に変更がないときはお知らせ通知(同システムから土地家屋調査士等に対して送信するお知らせ通知)により、通知の日から2開庁日以内に所定の額の登録免許税を納付することを求めるものとする。
おって、全ての調査を終えた時点で、既に登録免許税が電子納付により納付されていた場合には、上記の通知をすることは要しない。
4 登記識別情報の提供及び通知並びに登記完了証の交付の方法
(1) 登記識別情報の提供
規則第66条第1項第1号に定める方法によるものとする。
(2) 登記識別情報の通知
規則第63条第1項柱書の法務大臣が定める場合又は規則第63条の2第1項の規定に基づき登記識別情報の通知をする場合を除き、規則第63条第1項第1号に定める方法によるものとする。なお、当該法務大臣の定めにおいては、調査士報告方式により申請を行った場合には、送付の方法による登記識別情報を記載した書面の交付は行わず、当該書面を登記所において交付する方法のみによるものとされた(令和元年10月7日付け法務省民二第189号当職依命通知)。
(3) 登記完了証の交付
規則第182条第1項第1号に定める方法によるものとする。
5 運用上の留意事項
(1) 受付
上記2(4)の申請情報の内容から、調査士報告方式による申請又は嘱託であるかどうかを判断する。また、平成17年2月25日付け法務省民二第457号通達「不動産登記法の施行に伴う登記事務の取扱いについて」の第2の1(2)のとおり、当該申請又は嘱託に関する調査票とともに、申請又は嘱託情報、添付情報、電子署名の検証結果及び電子申請管理用紙(平成17年2月25日付け法務省民二第456号通達「不動産登記事務取扱手続準則」第32条第3項)を印刷した書面(以下「申請等書類」という。)を登記完了まで一括して管理するものとする。
(2) 調査
【ア】調査に着手した段階で、申請又は嘱託が上記2の要件を全て満たしているどうかを確認するものとする。これらの要件を全て満たしていないと判断した場合には、代理人として申請又は嘱託を行った土地家屋調査士等に対し、登記所に提出した添付情報の基となった書面を持参若しくは郵送の方法により提出し、又は実地調査を実施するまでの期間に要すると思われる相当の期間を定め、当該書面の提示を求めるものとする。
【イ】提供された電磁的記録が不鮮明な場合は、添付情報の基となった書面の提示を求めたり、法第25条第9号等を理由として却下することなく、当該電磁的記録を再提供するよう、補正を求めるものとする。再提供された電磁的記録がなお不鮮明な場合は、上記アと同様、相当の期間を定め、当該書面の提示を求めるものとする。
【ウ】上記アの確認の結果、上記2の要件を全て満たしていると判断した場合であっても、当該確認後の調査の結果、添付情報の基となった書面の作成者の供述等により、当該添付情報の真正性に疑義が生じた場合には、上記アと同様、相当の期間を定め、当該書面の提示を求めるものとする。
【エ】2(2)及び(4)の記録の双方がない場合には、調査士報告方式によらないものとして、上記アと同様、相当の期間を定め、当該書面の提示を求めるものとする。なお、上記のいずれかのみ記録があった場合には、土地家屋調査士等に対し、調査士報告方式によるかどうかを確認し、調査士報告方式による旨の意思が示された場合には、補正通知に基づき、記録がなかった事項についての補正(再提出)を求めるものとする。
【オ】登録免許税の納付以外の全ての調査を終え、法第25条第12号以外の事由に該当することはないと判断したときは、上記3のとおり、土地家屋調査士等に対し、所定の額の登録免許税の納付を求めるものとする。この場合において、登記官は、登記・供託オンライン申請システムにおいて、登録免許税の納付期限の延長処理を行うこととし、納付期限については、土地家屋調査士等に対して当該納付を求めた日から2開庁日以内とする。
【カ】登録免許税が納付されたときは、納付状況確認画面により、納付の事実を確認した上で、当該納付状況の情報を印刷し、この書面に印刷を行った者及び納付状況の情報により登録免許税が納付されていることを確認した登記官が押印する必要がある。
(3) 登記完了後の処理
調査士報告方式を行った申請又は嘱託に係る登記を完了したときにおいて、申請書類つづり込み帳には、申請等書類をつづり込むものとする。当該申請又は嘱託に係る書類の閲覧の請求があった場合には、申請書類つづり込み帳につづり込ませた申請等書類を閲覧させることをもって、規則第202条第2項に定める方法によったものとして取り扱う。
6 調査士報告方式の運用開始日
令和元年11月11日から運用を開始することとする。
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